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アコム過払い請求に対し分断で残有り主張

 先日アコムに対し100万弱の過払い請求をしたところ取引の空白期間があり以前の分は時効で消滅しているから100万弱の残債がある旨の主張をしてきました。
 この主張は貸金業者の常套手段であり、最大の争点ともなっています。
 早速依頼人と相談し、本日訴訟を提起しました。
この争点は、抽象的な充当合意の主張をしても裁判所は取り合わないので、最高裁平成20年1月18日判決に沿って主張、証拠等の提出が求められます。
最高裁平成20年1月18日判決はこちら
 この判決は、第1の基本契約に基づく債務の全額を支払った後に、取引の空白期間が存在し、その後あらためて基本契約が締結された事案に関する判決です。基本契約書があらためて作成されても、それが契約の継続中における同日切替え(借換え、貸増し、利率の変更)であるときは、なお1個の連続した金銭消費貸借取引であるとすることができ、一連充当計算が可能であると判示したものです。(ただし、契約切替えの時に一連計算ができる根拠を明確に判示した最高裁判決は存在しません)。
 1月18日判決は、法律上、別個の金銭消費貸借取引にまで過払金充当合意を及ぼした点で充当の認められる範囲を質的に拡大したものです。しかし、実際の裁判例では、上記6要素の当てはめる結果としては、充当が認められる範囲を狭めていることも事実です
 しかし、一連計算を裁判所に認めさせるためには、1月18日判決の6要素に当てはめることは不可欠です。
以下事案の当てはめにおいて留意している点を述べます。
 ア 契約書の返還
契約書を返還したことは、貸金業者側に立証責任があります。貸金業者は、借り手に契約書を返還するときは、通常、受領書を取るか、契約書の控えにその返還を受けた旨の署名または押印を受けます。もしくは配達証明つきの郵便で返却します。貸金業者が、借主の署名等によって契約書の返還の事実を立証しなければ、基本契約書は返還されていないと推認されることを主張します。
 イ ATMカードの失効手続
ATMカードの失効手続は、貸金業者側の内部処理の問題であり、外形的には判断できず、ATMカードの失効手続の有無は貸金業者側に証明責任があります。ATMカードの所有権は契約条項上、貸金業者にありますが、あえてATMカードを回収せず、しかもATMカードの失効手続が行われたことの立証がなければ、ATMカードの利用は可能(有効)であったと推定されることになります。
 ウ 利率の異同
利率の変更があった場合には、利率は、取引が継続して借り手の信用が高まれば貸金業者側から利率を下げることもあり、また法改正の結果としても変化することもあるなど事実上1個の連続した貸付取引であるかどうかの判断基準とならないことを主張します。
 エ 空白期間の接触状況
一般的には、第1取引の終了時において、借り手がそれ以降借入れをしないという確定的な意思をしていた事実はなく、貸金業者においても、借り手にATMカードを所持させ、近い将来再度原告から借入れの申込みがあるとの合理的期待を有していたということができます(東京地判平20・6・26)
 オ 約定完済と取引終了の意思表示
約定完済が、まとまった金額を一括弁済するのでなく、毎月の最低弁済額の返済を継続するうちに完済に至った場合、借り手は取引終了の意思を明確にしていないと主張することが可能です(前掲東京地判平20.6.26、東京地判平20・7・24、東京地判平21・5・26)。
 総合的な主張
 上記いくつかの事情を複合的に主張して、取引の連続性、1個の連続した貸付取引であることを主張してゆくことになります。
 たとえば、名古屋高判平22・10・7は、同一の契約番号が付されて統一的に管理されていること、約定完済時に基本契約書は返還されているものの取引の継続中にも基本契約書の書換えの際にも従前の契約書が返還されており、基本契約書の返還のみをもって取引関係の完全な終了の意思表示とはいえないこと、空白期間中もATMカードが回収されたことがなく利用できる状態であったとみることが自然であること、毎月1回の返済方法、年利率、遅延損害金の年率、毎月の最低支払額を定める方法に違いがないこと、取引の再開に際しては、新たなる厳格な与信審査がなされたものでなく、従前の取引関係の継続による信用を前提とした形式的な審査がなされたにすぎないこと等を理由に、1個の連続した貸付取引であると判示しました(前掲名古屋高判平22・10・28、名古屋高判平23・3・11、名古屋高判平23・8・25、名古屋高判平23・9・1など)。
 こうした地道な事実を積み重ねることによって裁判所に一連計算を認めさせてゆく作業が当分の間必要になると思います。
参考までに、依頼人の了解を得て準備書面陳述書をアップしておきます。

 また司法書士会の消費者問題対策委員会の分析も良くできているのでアップします。