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本人訴訟、現状維持すべき

「本人訴訟、現状維持すべき」
東京司法書士会『弁護士強制制度に反対する意見書』提出

 

 東京司法書士会(清家亮三会長)はこのほど、「弁護士強制制度に反対する意見書」を最高裁に提出した。2011年7月に最高裁がまとめた「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書第4回」に記載の弁護士強制制度に反対するもので、「当事者の自律的意思に基づく訴訟制度の構築を図りつつ、裁判迅速化に関する議論を進めていくべきだ」と主張する。
開業以来、35年間本人訴訟に真摯に取り組んできた私としても本声明に全面的に賛同するものであり、以下週刊法律新聞より引用して紹介します。

 

 その理由として、弁護士強制制度の導入は、「行政規制による事前救済から、司法による事後救済へと社会の在り様について大きな転換を執った司法制度改革の理念、さらにいえば、その根本的な思想である『個人の尊重』という日本国憲法の大きな柱である価値観に反するもの」とし、「『当事者本人がみずから訴訟を追行する権利』の侵害になる」と指摘する。
 意見書はまず、本人訴訟(原告被告双方本人訴訟型、被告本人訴訟型)の実態について、代理人を選任せずに当事者本人による訴訟追行が行われた案件と代理人により訴訟追行が行われた案件に関する統計資料を基に概観。「司法制度改革により弁護士の大増員が図られる以前も第1審地方裁判所通常訴訟事件において本人訴訟の割合は約60%だが、2014年度の弁護士数が3万5045人と大幅増員を図った現在においても、本人訴訟の割合は約60%程度であり、日本では本人訴訟が多いことが読み取れる」と述べる。
 本人訴訟の評価にも触れ、「権利保護の観点から、法に精通していない素人が行う本人訴訟においては、訴訟追行上の不手際からその本人自身が不利益を受ける場合がある」「裁判迅速化の観点から、当事者に訴訟手続きや制度の説明などに時間と労力がかかる」などの否定的見解、「自身の紛争問題を本人が主体となって解決することにより満足度が大きい」「訴訟上の法的に構成された問題と異なる次元で当事者にとって『本当の問題』を反映した法的処理が可能になる」などの肯定的見解があるという。
 このように、日本では否定と肯定の意見が混在しているが、ドイツやフランスでは弁護士強制制度を導入しているといわれており、アメリカでは本人訴訟が行われている。
 ドイツで弁護士強制制度が採用される理由を、「①歴史的経緯から、紛争にあたって法専門家を関与させるという認識が国民の共通的な価値として共有されている②弁護士は、民間の事業者ではなく、裁判所と同様の公的機関として位置付けられている③弁護士の選任が必須であるため、訴訟に必要な経費として弁護士報酬について敗訴者負担制度が導入されている④②及び③と関連して、弁護士費用は低額に公定されており、弁護士と当事者の任意の契約により決定されるものではない⑤③と関連して、権利保護保険が一般に普及している⑥法曹人口が日本に比べて著しく多い」と記す。
 フランスでは、日本の地方裁判所に相当する大審裁判所や控訴院、破毀院で弁護士代理強制を執るが、小審裁判所や商事裁判所、労働裁判所、社会保障事件裁判所、農事賃貸借同数裁判所では、本人訴訟が認められ、手続きも口頭で行われる。「この弁護士代理強制を支えるために、日本の原則償還制度とは異なる、原則給付制の法律扶助制度を採用し、最低賃金所得層は無償でそれを超えた場合は費用の一部を援助する」という。
 一方、弁護士強制制度を採らないアメリカは、「当事者本人による訴訟追行が憲法上の権利として認識されているため、本人訴訟を行う者を支援するための諸制度の充実が図られている」とし、アメリカの本人訴訟の現状及びその対応策から「本人訴訟の需要の多い日本も学ぶべき点が多い」と強調する。
 以上を踏まえて、弁護士強制制度の導入の是非について様々な角度から検証。憲法上の視点から、「弁護士強制というより、むしろ簡易訴訟代理関係業務を行う司法書士をも含めた法専門家強制というべき」と前置きした上で、「法専門家強制制度は、他者の価値観を押し付けることにより、個人の自律的判断を損なうことにつながるため、個人の尊重を理念とする日本国憲法と整合しない。また、形式的観点からだけでも、日本の場合、法専門家に受任義務なく、他国と比べて脆弱な法律扶助制度を前提としており、法専門家強制制度の導入は国による裁判の拒絶を招くために、事実上不可能」と主張。ドイツやフランスの弁護士強制制度の導入についても検討し、「日本がドイツやフランスのような弁護士強制制度を採用するに必要な土壌が整っていない点なども併せ考察すると、本人訴訟は現状のとおり維持すべきだ」と訴える。
 本人訴訟を維持していくためには、司法予算の増加や法情報及び法手続情報へのアクセスポイントの整備、口頭弁論を活性化させるだけでなく、アメリカの本人訴訟支援施設「セルフ・ヘルプ・センター」と同様の取組の導入を提案。「本人訴訟を選択した当事者を支援することにより、本人訴訟における裁判官及び裁判所書記官の負担軽減を図ることができるのではないか」という。
最後に、司法書士の観点として、「古くから本人訴訟支援を行ってきた」とした上で、将来的には、本人訴訟を望む当事者をより積極的に支援するために、各地の司法書士会が日本版セルフ・ヘルプ・センター」の創設に積極的に関与していくことが必要」と述べる。