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取立金請求訴訟~貸金債権を全額回収
今回は、給与差押→取立金請求訴訟の債権回収事案をご紹介します。
訴訟申立する際は、勝訴判決を得ても相手方がそれに応じなかった時を想定して、相手方に差押をすることで回収見込みがある(財産を有している)か等を調査したうえで訴訟を検討することが重要です。依頼人は、貸金返還請求の訴訟をして勝訴判決を得たが、相手方がその返還に応じないというものでした。相手方が財産を有しているかどうかは不明でしたが、相手方の職場は知っていたことから給与差押手続きを検討しました。
給与差押手続きを申立する前に、ますは相手方に下記受任通知を出しました。司法書士が介入したという内容の書面ですので、相手方もそれを見て和解を希望するといったケースも多々あります。
様
平成26年1月 日
札幌市豊平区豊平3条8丁目1番26号
ヌーベルアーバンシティー
司法書士 坂東法務事務所
司法書士 坂東 守
法務大臣認定 第543022号
電 話 011-826-3056
FAX 011-814-5691
フリーダイヤル 0120-370-621
通 知 書
謹啓 時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、当職は、 氏から依頼を受け同氏の司法書士法第3条第6項及び第7項に基づく代理人となりましたので、本書をもって次の通り通知します。
同氏は貴殿に対し、第1回口頭弁論調書(判決)に基づく金 円及び遅延損害金 円(※本日現在)の合計金 円の支払を請求致します。
つきましては,貴殿の入金予定日確認のため,早急に当職宛まで連絡をお願いします。万が一お支払いがない場合又は連絡が無い場合には、やむを得ず強制執行手続きに移行しますのでその旨予め承知置きください。
<当該請求の表示>
請求内容:平成 年(ハ)第 号 第1回口頭弁論調書(判決)
1.貸付金 円
2.遅延損害金 円
(平成 年 月 日~平成 年 月 日まで年5分の割合による)
<振込口座の表示>
銀行 支店 普通預金
口座番号
口座名義 司法書士 坂東法務事務所 坂東守
※本通知書到着前に支払いを済まされておりましたらご容赦ください。
受任通知送付後、相手方からの連絡はなかったため、給与差押手続きに移行しました。申立人を債権者、相手方を債務者、相手方の職場を第三債務者として管轄の地方裁判所に申し立てしました。申立後、裁判所の差押命令が債務者と第三債務者に無事送達されました。(債務者及び第三債務者に差押命令が送達された証明として、裁判所から送達通知書が届きます)しかし、ここで問題が生じました。裁判所は、第三債務者に対し陳述書という書面を用いて債務者との雇用関係、給料月額、支払方法、差し押さえられた金額の支払い意思の報告を求めますが、第三債務者は陳述書の提出をせず、無視したのです。給与差押手続は、第三債務者に対して強制力がある手続きではないため、第三債務者の協力なくして成立しません。その後も第三債務者から陳述書が提出されることはありませんでした。
このままでは、依頼人の勝訴判決が絵に描いた餅となってしまいます。依頼人と協議し、次の一手として取立金請求訴訟を申立てすることにしました。同訴訟では、債権者を原告、第三債務者を被告として管轄の裁判所へ申し立てし、差押債権分の請求を行いました。
訴 状
平成26年5月 日
簡易裁判所 御中
〒 -
札幌市
原 告
送達場所
〒062-0903
札幌市豊平区豊平3条8丁目1番26号
ヌーベルアーバンシティー
司法書士坂東法務事務所
原告訴訟代理人 司法書士 坂東 守
電 話 011-814-5696
FAX 011-814-5691
北海道
被 告 株式会社
上記代表者代表取締役
取立金等請求事件
訴訟物の価格 金 万 円
貼用印紙額 金 円
請求の趣旨
1 被告は、原告に対し、金 万 円を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決ならびに仮執行の宣言を求める。
請求の原因
1 後記2の差押命令記載の債務者(以下「執行債務者」という)は、同命令が被告に送達された日以前から被告に雇用されて勤務しているが、その給料の手取月額(基本給に通勤手当を除く諸手当を加えたものから、給与所得税、社会保険料を控除した残額)は少なくとも○○万○○○○円である。また、その給与支払い時期は、当月分を翌月 日支払と解すべきである。(労働基準法24条2項本文、民法624条2項)
2 原告は執行債務者の被告に対する債権のうち、差押債権目録記載の部分について平成26年 月 日に差押命令( 地方裁判所平成 年(ル)第 号事件)を得たところ、その命令は、第三債務者である被告に対しては平成26年 月 日に、執行債務者に対しては平成26年 月 日に、それぞれ送達されたので、原告は執行債務者に対する送達後1週間の経過により、被差押債権につき取立権を取得した。
3 前記差押命令による被差押債権の範囲と金額は次のとおりである。この計算は、最後に発生した債権以外は、いずれも前記手取額に基づき前記差押債権目録の記載によって差押部分を算出し、最後の債権の差押部分は、同目録記載の差押限度額から既に発生した債権の差押額を控除した残額で、同目録記載の債権別の差押部分に相当する額より少ない額である。
平成26年 月支払分 万 円中の 万 円
平成26年 月支払分 万 円中の 万 円
平成26年 月支払分 万 円中の 万 円
(合計 万 円)
4 原告が未だ支払を受けていない執行債権及び執行費用の合計額は 万 円である。
5 よって、原告は、被告に対し、取立権に基づき前記被差押債権に対する弁済として、上記4の金額の範囲内である 万 円の支払いを求める。
証拠方法
甲第1号証 債権差押命令正本( 地方裁判所作成)
甲第2号証 債権差押命令送達通知書( 地方裁判所作成)
添付書類
1 訴状副本 1通
2 甲号証写 1通
3 資格証明書 1通
4 委任状 1通
第一回目期日が指定された時期に、被告から連絡があり全額返済すると回答を頂きました。陳述書の未提出について伺うと、「振込先の記載がなく、どのように対処すればよいかわからなかった」とのことです。
これによって、債権回収が成功し一件落着となりました。手続きが長期間に及びましたが、依頼人の債権回収にかける思いが強く、最後まで諦めなかったことが回収成功へのきっかけとなったのではないでしょうか。