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改正民法について~不動産取引が大きく変わります(2)

九 定型約款に関する規定の新設

 

現代の取引社会においては、大量の取引を迅速かつ効率的に行うため、契約約款による取引が広く行われているが、現行民法には契約約款に関する定めがありません。そこで、契約約款を用いた取引の法的効力を明確にすると同時に約款の他方当事者の正当な利益を保護すること等の見地から、契約約款の拘束力等に関する定めが新民法に設けられることとなりました。

 

改正民法では、定型約款を用いた場合に、取引の相手方が約款の個別条項について認識しておらず、一般の契約理論からすれば、合意したとみられるか否かにつき議論があり得る場合についても、以下の2つの場合には個別の条項についても合意したとみなすこととして約款取引の法的効力を明確化しました。

①定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき

②定型約款を準備した者があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき

 

定型約款がこのような効果を生じるものである以上、定型約款の内容を、いつ、どのような形で表示すべきか、については問題となる。この点についてのルールを改正民法では、以下のように定めました。

 

①定型取引合意の前又は定型取引合意の後相当の期間内に

②相手方から請求があった場合には、

③遅滞なく相当な方法でその定型約款の内容を示さなければならない

ただし、定型約款準備者が既に相手方に対して定型約款を記載した書面か電磁的方法でこれを提供していたときはその必要はない。

 

定型約款の開示請求を拒んだ場合これに関して注意しなければならない点があります。

 

→定型約款準備者が、定型取引合意の前において、相手方からの定型約款の内容開示の請求を拒んだときは、定型約款の個別の条項についても合意をしたものとみなす旨の規定は適用しないとされています。ただし、一時的な通信障害が発生した場合やその他の正当な事由がある場合は、定型約款の個別の条項についても合意をしたものとみなす旨の規定の適用は妨げられません。

 

定型約款を用いた取引では、対消費者だけでなく、事業者間においても、消費者契約法第10条↓と同じような規律に服することになります!

 

消費者契約法

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)

第10条

民法 、商法 (明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

 

それでは不動産取引の契約ひな形は「定型約款」に該当するのでしょうか?

 

不動産取引契約は、

取引相手の個性に着目してなされる場合には『不特定多数の者を相手方』とすることには該当しません。

 

また、ひな型が個別の交渉により、特約等を設けて修正すること等を予定している場合には当該ひな型の記載内容を「契約の内容とすることを目的」としての要件に該当しません。

 

十 民法改正による瑕疵担保責任から契約不適合責任への変更に伴う留意点

 

1 売買契約にも次のように修補請求権・履行追完請求権が認められます。

 

売買の追完義務について、次のような規律を設けるものとする。

(1) 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相応な負担を課すものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。

(2) (1)の不適合が、買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、(1)の規定による履行の追完を請求することができない。

 

この条項の実務への影響はどうでしょうか?

 

従来の民法は、売買の目的物に「隠れた瑕疵」が存した場合、瑕疵担保責任として、①原則として損害賠償、②契約の目的を達することができない場合に解除、が認められていましたが、上記(1)により売買の目的物に契約不適合があった場合には、契約不適合の内容に応じて、①修補請求権、②代替物引渡請求権、③履行の追完請求権を認めることとなりました。

 

2 代金減額請求権が認められる

 

新民法は、契約不適合の程度に応じて代金減額請求権を認めるものです。

ただし、売主が契約不適合者を追完する利益に配慮して、代金減額請求権の行使要件として、相当の期間を定めた追完の催告を経ることが必要とされているものです。

 

これに関して、買主の代金減額請求権について、民法第565条(同法563条第1項の準用)の規定は次のように改め。

 

(1) 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものである場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完を催告し、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。

 

(2) 次のいずれかに該当するときは、買主は。(1)の催告を要することなく、直ちに代金の減額を請求することができる。

ア 履行の追完が不能であるとき。

イ 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。

ウ 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行をしないでその時期を経過したとき。

エ アからウまでの場合のほか、買主が催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。

 

(3) 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものである場合において、その不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときには、買主は、(1)及び(2)の規定による代金の減額を請求することができない。

 

3 損害賠償請求及び解除

 

損害賠償の請求及び契約の解除について、民法第565条(同法第563条2項及び第3項の準用)及び第570条本文(同法第566条第1項の準用)の規律を次のように改めるものとされます。

 

「売主の追完義務及び買主の代金減額請求権の規定は、債務不履行の規定による損害賠償の請求並びに解除権の行使を妨げない。」

 

この条項の実務への影響は?

 

※ 契約不適合責任の内容は、瑕疵担保責任において従来から認められていた①損害賠償、②契約の解除のほか、③目的物の修補請求、④追完請求、⑤代金減額請求権等となります。

※ 競売の場合において、目的物の数量に関する契約不適合の場合には、買受人は債務者に対し、契約の解除又は代金減額請求をすることができるものとされています。

 

1.現行民法では、瑕疵担保責任を理由とする契約解除は「契約をした目的を達することができないとき」に限って認められていましたが、新民法の契約不適合責任では、契約目的の達成の如何にかかわらず、債務不履行を理由として、催告解除又は無催告解除の要件に従い解除できることとなりました。

 

2.現行民法では、瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求は無過失責任であり、信頼利益の範囲での損害賠償が認められるに過ぎませんが、新民法の契約不適合責任では、損害賠償は責に帰すべき事由がなければ行えないし、損害の範囲は履行利益に拡大することとなりました。

 

従って新民法では、売買契約の契約不適合を理由とする解除は「契約をした目的を達することができないとき」に限られなくなり、債務不履行による解除の一般原則に従うこととなります。

 

 

それでは新民法の催告解除ができる場合と、無催告解除が出来る場合とは?

 

(1)催告解除が認められる要件

新民法では、催告解除については、相当期間を定めて催告したにもかかわらず、債務の履行がなされない場合には、原則として、契約を解除出来る旨を定めています。ただし書として、催告期間が経過した後の債務不履行状態が、契約の内容や取引上の社会通念に照らして軽微であるときは解除できないと規定されました。

 

(2)無催告解除が認められる要件

新民法では、契約の全部を無催告で解除出来る場合と、契約の一部を無催告で解除出できる場合の要件を明確にしました。

 

①契約の全部を無催告で解除出来る場合

ア 債務の全部の履行が不能であるとき

イ 債務者が債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき

ウ 残存する部分のみでは契約をした目的を達成することができないと  き

エ 特定の日時または一定の期間内に履行しなければ契約の目的を達することができない場合に、その時期を経過したとき

オ 催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないとき

 

②契約の一部を無催告で解除出来る場合

ア 債務の一部の履行が不能であるとき

イ 債務者が債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき

 

とされました。

 

まだ三年の猶予があるといえ、あっという間です。

特に不動産関連の方に影響が大きいと思われるので概略アップしました。