新着情報
続・民法改正
政府は13日、遺産相続に関連する民法などの改正案を閣議決定した。改正案は、被相続人(死亡者)と法的に結婚している配偶者の優遇を強く打ち出しているのが特徴。寿命が延び、相続が発生する頃には被相続人の配偶者も高齢になっているケースが多いことから、配偶者が余生で困窮しないようにする狙いがある。改正されれば昭和55年以来、約40年ぶりに相続のルールが大きく変わる。
改正案に盛り込まれた配偶者優遇策は(1)配偶者がそれまで住んでいた家に住み続けられるようにする権利「配偶者居住権」を新設(2)20年以上結婚していた夫婦に限り、住居が配偶者に生前贈与もしくは遺言で遺贈された場合、遺産分割の対象から除外できる-など。
これらの改正によって、配偶者は相続で他の相続人ともめても、住んでいた家を失わずにすむ上に、生活に必要な現金も相続しやすくなる。
厚生労働省によると、28年の日本人の平均寿命は男性80・98歳、女性87・14歳。同い年の夫婦が平均寿命で死亡すると仮定した場合、妻は働くことが困難になる80歳過ぎから約6年、1人で生きていかなければならない。
しかし、現状の相続ルールで遺産を分割すると、妻は住む家を失うか、生活資金を相続できないといったリスクがあった。
このほか改正案では、自筆証書遺言を法務局に預けられるようにする制度を新設。これにより偽造・変造や紛失などのリスクを減らすことができるようになる。また、被相続人の預貯金を遺産分割前に引き出せるようにする制度の創設なども盛り込まれた。